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AIで生まれる仕事となくなる仕事10選

【前編】絶滅する仕事 —— 「平均点」の死

残酷な事実を突きつけることから始めよう。 これから起きるのは、人類史上最大規模の「リストラ」だ。 だが、これは悲劇ではない。今まで人間がやる必要もなかった「ロボットの真似事」を、本物のロボット(AI)が引き受けるだけだ。

消える仕事には共通点がある。 それは**「誰がやっても結果が同じ仕事」**だ。 Aを入力したらBが出る。マニュアル通りにやれば100点が取れる。そういう仕事は、人間がやるには退屈すぎるし、AIがやるには簡単すぎる。

ここにあげる「なくなる仕事」は、単なる職種リストではない。「こういう働き方をしていると死ぬ」という警告だ。自分の胸に手を当てて読んでほしい。


【なくなる仕事 1】 中間管理職(伝言ゲーム係)

課長、係長、マネージャー。彼らの仕事の正体は何か。 上からの命令を下へ伝え、下からの報告をまとめて上に伝える。つまり「人間のルーター(中継機)」だ。 部下の進捗管理? AIならリアルタイムで全員の作業ログを監視し、誰がサボっているか、誰が遅れているかを一瞬で判断できる。 上司への報告? AIが自動でグラフを作り、要点を3行でまとめてくれる。 「人と人の間に立って、情報を右から左へ流すだけ」の仕事は消滅する。これからは、現場で手を動かす人間と、トップで決断する人間、この両端しか残らない。

【なくなる仕事 2】 銀行員・窓口業務

「紙にハンコを押して、本人確認をして、端末に入力する」。 これは仕事ではない。「儀式」だ。 スマホのカメラで顔認証ができる時代に、わざわざ店舗に行って、免許証を見せて、待合室で番号を呼ばれるのを待つ。こんな無駄な時間は、数年以内に撲滅される。 お金の貸し借り(融資)の審査も同じだ。 ベテラン銀行員が「この社長は信用できそうだ」と勘で決めるよりも、AIがその会社の口座の動きを過去10年分分析したほうが、貸した金が返ってくる確率は高い。 笑顔で「いらっしゃいませ」と言うだけの受付係は、ペッパー君ですらなく、ただの「スマホアプリ」に置き換わる。

【なくなる仕事 3】 初級プログラマー(コピペ職人)

翻訳機が完成したから

「プログラミングができる=食いっぱぐれない」という神話は終わった。 今までプログラマーがやっていた仕事の多くは、「人間がやりたいこと」を「機械がわかる言葉」に翻訳することだった。 だが、AIはこの翻訳が天才的にうまい。 「会員登録画面を作って。おしゃれな感じで」と日本語で言えば、AIは一瞬でコードを書く。しかもバグ(間違い)がない。 誰かが書いたコードをネットから探してきて貼り付けるだけの「なんちゃってエンジニア」は、AIの圧倒的なスピードの前になす術もなく蒸発する。

【なくなる仕事 4】 Webライター(文字単価の奴隷)

文字の価値が暴落するから

「検索した時に上位に出るような記事を書く」。 こういう、中身スカスカの「まとめ記事」を見たことがあるだろう。 情報を右から左へまとめ直すだけの文章。これこそAIの大好物だ。 AIは疲れない。24時間、文句も言わずに、そこそこ読める文章を無限に書き続ける。 「1文字1円」のような世界で戦っていたライターは、1文字0.0001円で働くAIには絶対に勝てない。 「あなたにしか書けない体験談」がない文章は、これからはスパム(ゴミ)扱いされる。

【なくなる仕事 5】 語学教師・通訳(日常レベル)

バベルの塔が崩れたから

「英語が話せれば年収が上がる」。これも過去の話だ。 今や、耳につけるイヤホンが、外国人の言葉をリアルタイムで日本語にしてくれる。 商談、旅行、日常会話。これらに人間の通訳はいらない。 もちろん、微妙なニュアンスを伝えるプロの通訳や、文化を教える先生は残る。 だが、「教科書通りに文法を教えるだけの先生」や「ただ言葉を置き換えるだけの翻訳家」は、電卓の登場で消えたそろばん教室のように、趣味の世界へと追いやられる。

【なくなる仕事 6】 コールセンターのオペレーター

人間である必要がないから

電話をかけて、マニュアル通りの回答を読み上げる。 「再起動してください」「コンセントを確認してください」。 これなら、感情のないAIの声の方がマシだ。AIなら待たせないし、怒鳴られても病まない。 最近のAIの音声は、人間と区別がつかないレベルだ。 「お客様、大変でしたね」と相槌を打つことすら、AIは人間より上手くやる(データから最適なトーンを選ぶからだ)。 マニュアルに縛られた会話しか許されない仕事は、人間から剥奪される。

【なくなる仕事 7】 地方公務員(事務処理係)

公平性という名の自動化

役所の仕事を見てみろ。書類のチェック、入力、証明書の発行。 これらはすべて「ルール通りにやる」ことが求められる。 「情」を入れてはいけない世界だ。 情がいらないなら、機械のほうがいい。 公平に、正確に、24時間対応できる。 税金の計算も、住民票の発行も、スマホ一つで完結する。 「窓口でハンコを押すためだけに座っているおじさん」たちを養う余裕は、これからの国にはない。

【なくなる仕事 8】 薬剤師(薬を袋詰めする人)

間違える人間より、間違えない機械

誤解しないでほしい。「薬の専門家」としての薬剤師は残る。 なくなるのは「棚から薬を取ってきて袋に入れる作業員」としての薬剤師だ。 処方箋を見て、薬をピッキングする。飲み合わせをチェックする。 これは完全にデータベースとロボットアームの仕事だ。 人間は疲れると、違う薬を渡すかもしれない。量は間違えるかもしれない。 命に関わることだからこそ、ミスのない機械に任せるべきだという流れになる。 これからの薬剤師は、薬を渡すことではなく、患者の悩みを聞く「カウンセラー」としての能力が問われる。

【なくなる仕事 9】 トラック・タクシー運転手(長距離・定型ルート)

不眠不休のライバル登場

自動運転の技術は、まだ完璧ではない。だが、高速道路や決まったルートを走るだけなら、もう人間を超えつつある。 特に長距離トラック。人間は寝ないと死ぬ。AIは寝なくてもいい。 物流コストを下げるため、高速道路上は自動運転トラックの隊列が走るようになる。 タクシーも、都心の一部エリアなら無人タクシーが走り回る。 「運転」というスキル自体が、かつての「乗馬」のように、趣味の特技になっていく。

【なくなる仕事 10】 テレビのアナウンサー(ニュース読み)

完璧なアバターの誕生

ニュース原稿を噛まずに、正確なイントネーションで読む。 これはAIが最も得意とする分野だ。 すでにAIアナウンサーは存在する。見た目も人間そっくりだ。 彼らはスキャンダルを起こさない。給料もいらない。24時間いつでも緊急速報を読める。 「原稿を読むだけ」のアナウンサーは消える。 残るのは、現場で泥まみれになってレポートする記者か、自分の言葉で意見を言えるタレント性のある人間だけだ。

生まれる仕事 —— 「人間臭さ」の逆襲

機械が完璧になればなるほど、人間は「不完全」を欲しがる

AIは「正解」を出すのが仕事だ。 だが、人間は天邪鬼だ。正解ばかり見せられると飽きる。 整いすぎた音楽はBGMにしかならない。ミス一つない絵画は、ただの壁紙だ。 これからの時代、金になるのは**「揺らぎ」「物語」「信用」「熱狂」**だ。 これらは計算式からは生まれない。人間のドロドロした感情からしか生まれない。 さあ、新しい時代の「勝ち組」リストを見ていこう。


【生まれる仕事 1】 AI指揮者(プロンプト・アーティスト)

魔法使いに呪文を教える人

AIは最強のエンジンだが、自分では目的地を決められない。 「面白い絵を描いて」と頼むのと、「19世紀のパリの路地裏で、未来の猫が泣いている絵を、ゴッホ風に描いて」と頼むのでは、出てくる結果が天と地ほど違う。 この「命令(呪文)」を操る能力が、これからの時代の「国語力」だ。 ただ文字を入力するだけじゃない。AIのクセを読み、なだめ、すかし、自分の脳内にあるイメージを正確に引っ張り出す。 彼らはパソコンに向かっているが、やっていることはプログラマーではない。「監督」であり「詩人」だ。

【生まれる仕事 2】 孤独の専門家(ハイタッチ・ケア)

ぬくもりを売る仕事

ロボットがおむつを替え、AIが健康管理をする。それは素晴らしいことだ。 だが、死ぬ間際の老人が欲しいのは、冷たいロボットアームではなく、シワだらけの温かい人間の手だ。 「不安だよな」「わかるよ」と、目を見て頷いてくれる存在。 これは介護士というより、「心のマッサージ師」だ。 AIは「悲しい」という言葉の意味は知っていても、涙のしょっぱさは知らない。 「同じ痛みを持つ人間」がそばにいる。その圧倒的な安心感に、高いお金が支払われるようになる。

【生まれる仕事 3】 コミュニティ・デザイナー(部族の長)

寂しい人間たちをつなぐ接着剤

会社がなくなり、学校の意味が変わると、人間はバラバラになる。 自由だけど、猛烈に寂しい。 だから人々は「居場所」を求める。 「猫好きが集まる村」「昭和のゲームを語る地下室」「毎朝一緒にコーヒーを飲むだけの会」。 こういう小さな「部族(コミュニティ)」を作り、熱狂を生み出し、人間関係を交通整理するリーダー。 AIは宴会の幹事はできない。喧嘩の仲裁もできない。 「あの人がいるから集まろう」と言わせる人間力(カリスマ)が、最強の資産になる。

【生まれる仕事 4】 現実世界のトラブルシューター(新時代の便利屋)

役割:カオスと戦う戦士

前編でも言ったが、デジタル世界はAIが支配する。 だからこそ、残された「汚くて複雑な現実世界」を直す仕事が爆発的に増える。 絡まった配線を直す、古民家をリノベーションする、ジャングルで遭難者を捜す。 マニュアル通りにいかない、予期せぬトラブルだらけの現場。 ここでは「AIによる計算」よりも「人間の野生の勘」が物を言う。 スマートなIT社長よりも、腰に道具袋をぶら下げた「何でも直せるおっさん」が、ヒーローとして崇められる。

【生まれる仕事 5】 キュレーター(目利きの達人)

ゴミの山から宝石を拾う人

AIのおかげで、世の中はコンテンツで溢れかえる。 1秒に100曲の新曲、100冊の小説が生まれる。その99%はゴミだ。 多すぎて誰も選べない。 そこで必要になるのが、「これを聴け!」「これを読め!」と断言してくれる「目利き」だ。 「あの人が勧めるなら間違いない」という信用。 AIは「あなたの好みに近いもの(過去のデータ)」しか勧めない。 だが、人間のキュレーターは「お前の好みじゃないかもしれないが、今の人生にはこれが必要だ!」と、未知の扉をこじ開けてくれる。

【生まれる仕事 6】 デジタル・デトックス・ガイド

役割:人間を電脳空間から連れ戻す案内人

四六時中、AIとスマホに接続されて、みんな頭がおかしくなりそうになる。 そんな時、「スマホを捨てて、森へ行こう」と手引く仕事だ。 焚き火の起こし方を教える、泥んこ遊びをさせる、ただ波の音を聞かせる。 「便利さ」から離れることが、最高の贅沢になる。 AIが絶対に提供できないもの、それは「不便」だ。 わざわざ不便なことをさせて、生きている実感を取り戻させる。皮肉だが、デジタルが進めば進むほど、この仕事は儲かる。

【生まれる仕事 7】 倫理の番人(AI・エシックス・オフィサー)

暴走する神を止める仕事

AIは効率のためなら何でもやる。 「犯罪を減らすために、怪しい奴は全員逮捕しましょう」と平気で提案してくるかもしれない。 そこで「待て、それは人としてダメだ」とブレーキをかける人間が必要だ。 哲学、宗教、道徳。 今まで「金にならない」と言われてきた教養が、ここで役に立つ。 「効率は悪いが、それでも守るべき人間の尊厳とは何か」。 AIと対等に渡り合い、人間社会のルールを守る、最後の砦だ。

【生まれる仕事 8】 個人ブランド(「私」を売る仕事)

生き様というコンテンツ

Youtuberやインフルエンサーは、その走りだ。 AIが作った完璧な美男美女のアバターよりも、欠点だらけで、失敗ばかりして、それでも必死に生きている「生身の人間」が見たい。 ドキュメンタリーだ。 何を作るかではない。「誰が」作るか。 「この人の作ったトマトが食べたい」「この人の選んだ服が着たい」。 商品ではなく、その人の「物語」にファンがつく。 すべての人間が、自分という物語の主人公として生きることが、そのまま仕事になる。

【生まれる仕事 9】 カスタム職人(一点モノの創造主)

大量生産への反逆者

AIと3Dプリンターで、安くて良いものは誰でも作れるようになる。 だからこそ、「世界に一つしかない、歪な茶碗」に価値が出る。 「手作り」という言葉が、最高級のブランドになる。 AIには「わざと味のある失敗」はできない。 指紋がついている、削り跡が残っている。その「人間の痕跡」こそが、持ち主の所有欲を満たす。 工芸、料理、服作り。職人の時代が、一周回ってまた帰ってくる。

【生まれる仕事 10】 問いを立てる人(ビジョナリー)

ゼロからイチを妄想する人

これが最後で、最も重要な仕事だ。 AIは「答え」は出せるが、「問い」は出せない。 「そもそも、なんで人間は働くんだっけ?」 「空を飛ぶ車があったら楽しくない?」 「貧困をなくすにはどうすればいい?」 子供のような好奇心で、とんでもない「妄想」をする仕事だ。 実現方法はAIが考えてくれる。 だから人間は、思いっきりバカで、壮大な夢を描けばいい。 「何がしたいか」。その意志を持つこと。それが王様の仕事だ。


遊びが仕事になる世紀

気づいただろうか。 ここで挙げた仕事は、どれも「効率が悪い」ことばかりだ。 おしゃべり、世話焼き、遊び、妄想、泥遊び。 これまでは「遊んでないで勉強しなさい」「働け」と怒られていたことばかりだ。

だが、これからは逆だ。 「真面目にコツコツ」はAIがやる。 「楽しく自由に」は人間がやる。

人類は長い間、生きるために嫌なことを我慢して働いてきた。 AIはその呪いを解いてくれる存在だ。 「ロボットになろうとするな。人間になれ」。 AIからのメッセージはそれだけだ。

恐れるな。お前の中に眠っている「好き」や「こだわり」や「変な癖」。 それらを隠さずにさらけ出すこと。 それが、これからの時代を生き抜くための、最強の武器になる。 ネクタイを緩めろ。さあ、人間を始めよう。